障害を持つ方の“バリアフリー住宅”にこだわる名古屋の設計事務所です。 車いす利用者の方、全身性障害の方の、より良い住まいを一緒に考えます。

名古屋市瑞穂区の青山さん邸 ~急なスロープで無理やり段差解消~

名古屋市瑞穂区の青山さん邸

~急なスロープで無理やり段差解消~

どんちゃんです。第2回目のそらいろ探邸団は瑞穂区の青山さん宅を訪問します。青山さんは男性で以前身体障害者福祉ホームに住んでいました。外では電動車いすを利用し、家の中ではひざ歩きで移動されます。(1999年12月の記事)

どん:こんにちは。

青山さん(以下青山):どうぞ上がって下さい。

どん:玄関ですが、自動ドアクローザー[*1]が付いてますね。

[*1]自動ドアクローザー:開き戸(マンションの玄関ドアなど)を自動で開閉する装置。数社から製品が出ている。 これはアブロイ社製。

青山:最初は付ける予定はなかったのですが、金額的にも助成金内で収まるし、付ければ絶対便利だと建築士に勧められて付けることにしました。

どん:玄関はスロープで上がるんですね。でも結構な勾配[*2]ですね。電動車いすなら登れますか?

[*2]結構な勾配:約4分の1勾配(!)。ちなみに電動車いすの登坂力はJIS規格で10゜(約5.7分の1勾配)以上。

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玄関から台所を見る

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台所から玄関を見る

青山:工事前にベニヤ板で試した時はタイヤが滑ったりして不安でしたが、滑り止めを付けたおかげで、なんとか滑らずに登れるようになりました。でもたまに滑ったりするけど・・。そういう時は一度バックしてもう一度登れば問題ないです。降りるときは前に転ぶのは怖いのでバックで降ります。大分慣れましたが、最初は壁にぶつかったりしてました。自動ドアクローザーを付けたおかげで電動車いすを降りずに玄関の開け閉めができるので大分楽になったと思います。

どん:電動車いすは台所で降りて、室内ではひざ歩きで移動されるんですね。

青山:はい。キッチンを使うときは電動を少し移動してヘルパーさんに使ってもらってます。部屋と部屋を仕切る戸にはレールを入れて軽くなっています。

どん:Vレールですね。敷居に後から取り付けるタイプ[*3]ですね。いやぁ、本当に軽いですね。これなら戸の開け閉めも楽ですね。

[*3]敷居に後から取り付けるタイプ:現在ある敷居の溝にVレールを堀込むことによって取り付ける。工事が簡単に行える。

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青山:お風呂は手すりを付けて、洗い場・浴槽内にすのこを敷きました。

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浴室の洗い場(すのこは現在の低い状態。最初はすのこの下にアルミの台があった)

どん:すのこで浴槽のエプロンのまたぐ高さ[*4]を調整したんですね。

[*4]浴槽のエプロンをまたぐ高さ:立つことが可能な人の場合、エプロンの高さは40cmくらいが適当とされている。浴槽の深さは50cmくらいがお湯につかる深さと出入りしやすさの兼ね合いから適当とされている。個人差の大きいところなので決して一概には言えない。

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青山:実は洗い場のすのこの高さを高くしすぎて、上がるのが大変だったので、今はすのこの下にあった台を取り外して、すのこだけを使っています。広い場所なら上がれる高さだったんですが、実際ここに設置してみたら上がるのに一苦労で、浴槽に入るためには高い方がよいと思ったんですが、今は取り外して使ってます。

どん:そうですか。作ってからしか試せないものはどうしてもそういった事が起こりえますね。浴槽に入るのは問題ないですか?

青山:入浴介助は、名古屋市のヘルパー(女性)では介助が体力的に無理なので、男性のボランティアさんに介助を頼んでいます。

どん:うーん・・。ハード的にもソフト的にも問題は大きいですね。単身者用のアパートはたいていお風呂やトイレは最低限の大きさしかないので、つらいところですね。名古屋市のヘルパーも男性ヘルパーを増やすなどして、なんとか対処してほしいですね。

青山:一人暮らしを始める前、福祉ホームに住んでいたんですが、その時のボランティアさんが引っ越しても続けて来てくれるかなぁと少し心配していたんですが、皆さん続けてくれているので助かってます。

どん:トイレはどのようになっているんですか?

青山:便座の高さに合わせて床を上げてあります。浴室と同様に高すぎたので、入り口の前に移動式の台を設けて2段で上がるようにしました。この台は工事の中には入っていなかったんですが、大工さんが作ってくれました。

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洗面台を使用する時

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トイレを使用する時

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トイレ内(台は折りたたんで取り外せる)

どん:ストッパー付きの車輪が下に付いてるんですね。トイレを使うとき一度この台を前に持ってきて、ドアを開けて台を元の位置に戻して使うということですね。中の床も取り外し可能なので、友達やボランティアが来たときなど、これなら普通にドアを閉めて用が足せますね。

青山:上に付いているカーテンはボランティアさんに付けてもらいました。女性のヘルパーさんが料理を作っている時でも、入浴やトイレができるので助かっています。

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ボランティアさんが付けたカーテン

どん:これはいいですね。こちらに住んで生活などで何か変わったことはありますか?

青山:福祉ホームにいた時よりも、名古屋市のヘルパーが使える事によりボランティアさんの手配に取られる時間が少なくなり、自分の時間が増えました。福祉ホームもかなり自由でしたが、より自由になりました。生活の質も向上したと思います。

どん:逆に困った事などは?

青山:今、自動ドアクローザーがたまにうまく開かなくなったりするので困っています。何度かスイッチを押すと開くんですが・・。大工さんに修理をお願いして交換部品を取り寄せてもらってます。

どん:制度に関しては何か要望などありますか?

青山:手すりなど住んでみないとどこに必要かは、なかなか分からないので、住んでから手すりが付けられるようにしてほしいと思います。

どん:これはこの前にも話が出ていました。助成金のいくらかを後工事の予算として別に取って置くとかできるといいですよね。それでは今日はどうもありがとうございました。

青山さんのお宅は、「突撃レポート」のさつきさんが以前住んでいたアパートで、すこし手が入っていたそうです。青山さんが家の中で移動しやすいように、台所を和室の床と同じ高さに上げて段差を無くしたり、浴室に入る時アルミドアの枠で足を傷つけないようにゴムが張ってあったりと気が付きにくいところでの改造もありました。
浴室もトイレも生活してみて、使い勝手がよくないことが分かったところが出てきました。住宅改造は「工事が終わればおしまい」ではない事を改めて思いました。工事費は名古屋市の住宅環境整備工事の助成金内(100万円:当時)で収まったそうです。

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